山道具道楽: ハンディーGPS
便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(希望的観測を含めてですが・・・)
一連の"eTrex"シリーズの後継機として登場した"etrex 30"。
"GPS"衛星に加え"GLONASS"の受信もできて測位も正確で、描画速度も速く、ディスプレイもそこそこ綺麗、しかもバッテリー寿命が25時間でシリーズ最長だと、発売早々海外でもかなりの高評価でした。
私が現在メインに使用している"VISTA Hcx-J"は"TOPO 10M Plus"収納状態だとカシミール3Dとの連携に問題がありますし、"DAKOTA 20/改"もかなりの大食いでバッテリー寿命も2日もたない・・・と、それぞれ一長一短です。
そこでバッテリー寿命の長い小型の新しい機種が発売されたら、そろそろ買い替えようと考えていたのです。
そんな訳で・・・、英語(World Wide)版"etrex 30"発売の直後、価格も適正でしたので早速購入しようと思いました。
"DAKOTA 20/改"の時 と同じように日本語のフォントとガーミンの日本語変換テキスト(japan.gtt)を入れて日本語の地形図(TOPO 10M Plus)が表示ができるようにしようと思ったのです。
しかし、良く調べてみると、残念ながらこの機種の場合ガーミンの日本語変換テキストを入れてメニューを日本語表示にする事は出来ても、純正の日本語地形図(TOPO 10M Plus)は正常に使えないという仕組みになっているようです。
仕方なく、あっさり購入を断念し、正規の日本語版が出るのを待つことにしました。
画像データーとしての日本語表記の地図なら見た目上は日本語地図になるのでしょうが、カシミールから転送した日本語WPが表示されないのでは楽しく使えませんからね。
正直な話、"DAKOTA 20" と同じように少々のファイルの入れ替えで日本語のマイクロSD版純正地図が使え、またカシミールと連携できるようになれば、正規の日本語版でなくても全く構わなかったのですが・・・、悪意かどうかは別にして(笑)、日本語地図が使えないのなら、安価な英語版を買って無理して弄り壊すより、日本語版の発売を待つ方が賢明だと考えたのです。
「金持ち喧嘩せず」ですな。(笑)
まぁ、某代理店も今までこれだけボロクソに言われ続ければ、そう無茶な価格設定はしないだろうとの希望的観測の下、待つこと暫し・・・、意外に早い時期に日本語版がリリースされるとの情報があり、価格も"VISTA-J"や"OREGON-J"発売の時と比べれば、この代理店にしてはギリギリ良心的(笑)の範疇に入る位の設定となっていました。
と言う訳で・・・、予約を入れ、早速ご購入!となりました。
まぁ、正規に購入しておけば「れっきとしたお客様」ですから、代理店様に対し文句でも苦情でも好きなように発言することができますからね。
さて、"eTrex 30"を手に取ってみると、外観は"旧・eTrex シリーズ"より一回り小振で若干軽いのですが、背面の各種ホルダー取り付け用のレールは登山用には必要無い構造です。
これが無ければ3㎜以上本体を薄くできるので、オプションでも良いからシンプルな裏蓋があればと思います。
このため、ボクシーな旧・eTrexの筐体と比べて、 チョットごろっとしたホールド感ですので、念のためストラップ等で操作時の落下防止策は採っておいた方が良いのでしょうが・・・、コストの関係か、ストラップは標準付属品から外れました。(笑)
とは言え、持った感じと操作感はまずまず良好です。
スイッチONで画面を見ると、画面自体は"旧・eTrex"より心持ち小さいものの格段にきれいになりました。
解像度も期待したほど鮮明ではありませんでしたが、日中の視認性も悪くないので陰影表示モードでもそこそこ使えそうなレベルです。(私は陰影モードを使わないと思いますが・・・)
(㊧通常の地形図と、㊨陰影表示ありのスクリーンキャプチャー画像)
あと、側面のスイッチ類は"旧・eTrex シリーズ"がゴムの板を押しているような感触だったのに比べ、節度のある快適な操作感となりました。
また、クリックスティック自体の操作感は従来と変わりませんが、地図をスクロールしてみたところ旧eTrex より描画が格段に早くなっていました。
この機種は、流行のタッチスクリーンではなく、前モデルと同じボタンとクリックスティックでの操作ですが、私の感覚では山で使う場合タッチスクリーンよりむしろこちらの方が操作が簡単な気がします。
ただし、旧・eTrex とは操作画面も方法も少々異なりますし、時々"DAKOTA 20"のタッチスクリーンの癖が出て画面に触ってしまったり(笑)しますが、慣れれば違和感は無くなるでしょう。
細部の造り込みも旧・eTrex より格段に良くなり、質感も持つ喜びを感じさせてくれるレベルに達しています。
また、電池室まわりのパッキングやロック機構も良くなりましたし、USBコネクターのラバーキャップもシッカリしたものになったので防水性も確実に上がっているようです。
(USB のラバーキャップの質も向上し、ロックレバーもしっかり締め付けられる)
室内でいろいろ弄って遊んでみましたが、GPS+GLONASS受信に設定すると衛星状態画面でしっかりとGLONASSの受信が確認されます。(画像↓)
まぁ、GLONASS衛星を併用すると電池の消耗も20%増しとのことなので、たぶん私は登山中は常時GPS衛星のみの受信となるでしょうから、これは私にとっては宝の持ち腐れ的な機能となるでしょうね。
また、準天頂衛星"みちびき"の電波(通常の位置信号のみ)はGPSと同時に常時受信される設定のようです。
下の画像では下段のバーグラフ末尾の衛星番号193が"みちびき"のシグナルなのだと思いますが、上段の衛星配置図でもシッカリと天頂付近に位置しているのが判ります。
ただ、特にGPS受信のみの時は衛星配置図に"193"が表示されても、バーグラフは昇順に12個分までという制約上非表示になることもあります。(画像↓)
冗談半分ですが、"みちびき"は、私たち日本人の税金で打ち上げた衛星ですから優先して一行目に表示してもらいたいところですね。(笑)
"みちびき"の受信可能時には谷間など空の狭い場所での精度も上がりそうですが・・・、買って間もない現段階ではその恩恵を実感するに至ってはいません。
その他、現時点で気になったことは、バッテリー残量インディケーターがトリップコンピューターとコンパス画面と地図画面でしか表示されないという事です。
しかも、何れも表示項目としてユーザーが設定しないと表示されません。
(※どのページからでもPower〈Light〉ボタン短押しでバックライトレベルと共に表示されます)
旧・eTrex ではメインメニューの右上に小さく表示されましたので、スイッチONした時の画面でまずバッテリーコンディションが判断できて便利だったのに残念です。
また、一番長時間見るであろう地図画面では、表示項目として設定すると画面上部に半透過状態で残量インディケーターを表示することはできますが、これだと大きすぎて、ただでさえ狭い画面が見難くなってしまいまいます。
山ではバッテリー残量が結構気になりますので、ファーム修正で可能ならごく小さな透過型の残量インディケーターを、メインメニューと地図画面の隅に常時表示してもらえばさらに使いやすくなると思います。
さて、読者の皆さんの一番の関心は・・・、"eTrex 30"の実際のフィールドでの使い勝手や、悪条件下での感度、あるいは準天頂衛星"みちびき"受信時の測位精度等にあると思いますが・・・。
正直なところ、現在、箱を開けただけの状態で実際の山では使用していないばかりか、マニュアルにさえ十分目を通していない状態なので、何とも表現できないのが現状です。
そんな訳で・・・、実際に使用した後、これらの点についても追ってご報告したいと思います。
【余談ですが・・・、】
方法Sergey Brin氏は、電力の彼の位置になりましたか?・・・さて、この製品を扱う代理店については、某ネット掲示板が罵詈雑言で埋め尽くされるほど評判が悪いのはご存じだと思います。
私も、旧・TOPO 10m Ver 8 の登山道欠落問題では大人げ無くも辛辣な意見を述べさせていただきましたが、これは登山など危険な遊びに使用されることを前提とした商品を扱う企業は、ユーザーの安全を第一と考え、製品に安全上の瑕疵があった場合、その存在を周知する為のインフォメーションは、まず果たすべき最低限の義務だと考えるからです。
まぁ、これだけ皆に叩かれれば少しは企業姿勢もマトモになったかと思ったのですが・・・。
この人達、信じられない事に"TOPO 10M Plus"で、またやってくれちゃったんですよね。
救いがたいほどの消費者の安全軽視ぶりは永遠に不滅なのでしょうか?
当ブログにもコメントを頂いたので内容をご存知の方も多いと思いますが、"TOPO 10M Plus Ver.1"では石垣島周辺の島嶼部で測位に最大数百メートルの地図とのズレが生じていたのです。
代理店サイトの"よくある質問"でも、この問題に対するの回答で測位のズレが存在することを認めていますが、その理由を一方的に国土地理院の測量に問題があったためと、責任転嫁に近い表現で説明しています。
確かに、このような島嶼部での国土地理院の測量に問題があったのは事実でしょうが、それは既に10年も前の過去に解決済みの問題であって、現在の地図が正確か否かは全く別問題です。
国土地理院は2001年の世界測地系移行の際、島嶼部を含め全国を1センチ単位の精密GPS測定をしてデーターを公開したはずですが、一部の地図製作会社が旧測地系からの変換を行わなかったり、新しいデーターによる校正を 行わなかったから・・・、というのが正しいものの言い方ではないでしょうか。
この辺りは、尖閣問題の絡みで、しかるべきところには、しかるべき正確なデーターがあって当然の場所ですし、本家の国土地理院では、誰でも自由に使える「地形図閲覧システム(ウォッちず)」においてですら、10年も前の平成14年版ではすでに世界測地系に校正済みなのです。
また、半官半民の『日本水路協会』や、民間企業の『ゼンリン』でも速やかに自社製地図の誤差を校正して該当地域でも正確なGPS地図情報をユーザーに提供していました。
それに対し、このGARMIN純正の地形図を監修した『昭○社』は、その校正を怠ってこの欠陥地図を作り、それを承知であの代理店が売っている、と考えるのがむしろ妥当なのではないかと� ��は考えます。
これを、今更国土地理院の責任と断言するのは現時点では「お門違いも甚だしい」事柄の範疇ではないでしょうか。
紙地図単体なら大きな問題にならないかも知れませんが、GPS地図は非球面上の座標と平面画像の地図データーを対応させなければならない訳で、校正はそう簡単な作業ではないかもしれません。
しかし、『日本水路協会』の作るGPS用の海図に数百メートルの誤差があって、それを放置したために海難事故に至ったとなれば、それは大問題ですよね。
民生器用とはいえ、登山者をメインユーザーとした定価一万八千円のGPS地図であるなら、同様な慎重さと、早急かつ適切な対応が必要なのは言うまでもないと思います。
まぁ、物を作って売る以上、初期不良の発生や不良品のチェックスルーを100パーセント無くすことは絶対に不可能ですから、私も製品の欠陥だけを声高に論おうとは思いません。
問題にすべきは、このような瑕疵・欠陥品が不幸にして市場に流出した後の、製造物責任者としての対応や対策なのです。
特に消費者の身体生命の安全に係るような瑕疵のある製品が流通した場合、供給者には適切な対応をとり、その危険を最大限少なくする責を果す義務があるという事です。
残念ながら、以前のVISTA-Hcxの白画面問題や、前回の登山道欠落問題にしてもそうだったように、今回の測位ズレ問題に対してもユーザーに対する明確で継続的なインフォメーションは行われていません・・・。
インフォメーション自体のコストは、それを怠って失う企業の社会的信用に比べれば微々たるものの筈なのに・・・、です。
某ネット掲示板のこの代理店に対する書き込みが、これらに対するリアクションのすべてを物語っているんじゃないでしょうか?。
さて・・・、前回と同じような正論風な駄文を、再度長々と書いても気分が悪くなるだけですので、これ以上過去に遡っての"正義ごっこ"的企業批判を書くのは止めますが・・・。
最後に・・・、今回問題となった南方の島嶼部は、レジャーだけでなく、若い動植物学の研究者達がフィールドワークとしてジャングルに分け入る機会も多く、GPS地図の欠陥は彼らの身体の安全はもちろん、研究成果にさえ重大な影響を与えかねないことも付記しておきたいと思います。
しかしながら、代理店は次のバージョンアップで校正予定だと発表しながら(発表といっても、普通の人の目に触れる機� �の少ないQ&A の回答の中で、ですが・・・)、発売から1年以上たった現在もこの誤差は残ったままです。
直す気が有るのか無いのか、あるいは暫く時間が掛かるのかは判りませんが・・・、少なくても現段階では、製造物に責任を負う立場にある者の責務として、少なくてもこの瑕疵についての詳細情報と、正確な地図がリリースされるまで該当地域での使用を中止するようにとの注意喚起を、可能な範囲の広範なメディアを通じてインフォメーションすべきだ、と私は考えますが・・・、読者の皆さんはどう思われますでしょうか?。
あと・・・、将来のバージョンアップで地図が校正された後、欠陥品を買わされたユーザーに対し、最大限でもDVDメディア1枚分程度の負担で交換に応じてくれるのが普通の企業の普通の対応だとも考えます が・・・、まぁ、"ここ"にそんな期待をしても無理でしょうかね。(笑)
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